2021/12/10
【法人向け】電気料金を削減するには?
電気料金削減の成功事例を紹介
電気料金削減の成功事例を紹介
製造業など、多くの電力を消費する企業にとって、月々の電気料金の負担は少なくありません。そのため、電気料金を削減したいと考えている企業担当者の方も多いでしょう。
この記事では、電気料金の仕組みや算定方法、電気料金削減のためのポイントを解説します。併せて、社内設備の省エネ化や、太陽光発電システムの導入による電気料金削減事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
電気料金の仕組み
まずは電気料金がどのようにして決まるのか、仕組みを確認していきましょう。
そもそも電気料金は、大きく分けて以下の3つの項目から構成されています。
・基本料金
・電力量料金(燃料費調整額含む)
・再生可能エネルギー発電促進賦課金
・基本料金
基本料金は契約電力に応じて算出される料金です。契約電力は500㎾未満と500㎾以上で決定方法が異なります。契約電力500kW未満では、当月を含む過去1年間の各月の最大需要電力※のうち最も大きい値となります。500㎾以上は、使用する負荷設備、受電設備の内容、同一業種の負荷率等を基準とし、需要家と電力会社との協議により決定します。負荷率とは一定期間中の最大需要電力に対する平均電力の比率のことで、負荷の特性を表します。
※使用した電力を30分毎に計量し、そのうち月間で最も大きい値を最大需要電力といいます。
・電力量料金
一方の電力量料金は、従量料金とも呼ばれ、電力の使用量に応じて算定される料金です。加えて、電気をつくるために必要な燃料(原油・LNG・石炭)の価格は、市場や為替などの外部要因により変動します。「燃料調整費」は、使用電力量に基づいて計算され、全日本平均の輸入燃料価格の変動に応じ、毎月、自動的に電気料金の調整が行われます。電気料金を調整するこの仕組みを燃料費調整制度とよびます。
引用:経済産業省 資源エネルギー庁 月々の電気料金の内訳
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/spec.html
・再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、電力会社が毎月電気を使うすべての需要家に対し徴収しています。固定価格買取制度において再生可能エネルギーで発電した電気を電力会社が買い取る費用に充てられています。
引用:経産省 資源エネルギー庁 料金設定の仕組みとは?
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/electric/fee/stracture/pricing/
電気料金の算定方法
上記の仕組みを理解したうえで、電気料金の削減を検討する際に重要となる、電気料金の算定方法も覚えておきましょう。
以下の計算式によって、1ヵ月分の電気料金が算定可能です。
A | 基本料金 | 基本料金単価(税込)×契約電力×(185-力率)/100 |
---|---|---|
B | 電力量料金 | 電力量料金単価(税込)×使用電力量±燃料費調整額 |
C | 再生可能エネルギー発電促進賦課金 | 再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(税込)×使用電力量 |
A+B+C | 電気料金合計 | 基本料金+電力量料金+再生可能エネルギー発電促進賦課金 |
電力量料金に影響を与える燃料費調整額は、燃料の輸入価格が上昇すれば料金に加算され、下降すれば差し引かれることになります。
また、電気料金の一部として請求される再生可能エネルギー発電促進賦課金は、国が年度ごとに全国一律の単価を定めており、電力の使用量に比例して増加するものです。
電気料金を削減する4つの手法
社内設備の省エネ化や「新電力」への切り替えなどにより、電気料金の削減は可能です。以下では、企業が電気料金を削減する4つの手法を解説します。
◇自家発電(太陽光発電システム)
自家発電で電力を賄う手段の一つに、太陽光発電システムの導入があります。
自社で発電した電気を使うことで電力会社から購入する電気の量を削減することが可能です。
◇電力切り替え
近年では、電力販売に新規参入する「新電力(新電力事業者)」が増えています。契約プランにもよりますが、新電力は電気料金を安く設定しているケースが多いため、新電力も含めて電力会社を見直すとよいでしょう。
◇デマンド値をコントロール
デマンド値とは、電気使用量の計測時に記録される、30分ごとの平均電力量を指します。
基本料金計算の根拠となるのが最大需要電力(最大デマンド値)です。契約電力500㎾未満は当月を含む過去1年間のデマンド値の中で最も大きい値が基本料金の計算に使用されます。つまり、一度でも大きなデマンド値がでると、1年間そのデマンド値が契約電力として適用されます。500kW以上の場合、協議により契約電力が決められますが、最大デマンド値が契約電力を超えると、通常より割増の違約金を支払うことになります。また、最大デマンド値をもとに、新たに契約電力変更の協議が行なわれます。
そのため、デマンド値をいかに下げるかが基本料金を下げるポイントです。
エネルギーマネージメントシステムを導入することで、施設の電力使用状況を監視・制御を行うことができ、デマンド値の引下げやエネルギー使用量の削減を図ることが可能です。
引用:関西電気保安協会
https://www.ksdh.or.jp/service/security/demand_fee.html
引用:東芝三菱電機産業システム
https://www.tmeic.co.jp/product/industries/process/facility/ems/
◇社内設備を省エネ機器に切り替える
LED照明の導入など、社内設備を電力の消費効率が良いものに切り替えることで、電気料金の削減につながります。使用電力量が大きい既存設備を切り替えた場合は、大きな効果が期待できるでしょう。
電気料金削減に成功した事例を紹介
最後に、電気料金の削減に成功した、株式会社ローソンと山梨積水株式会社の事例を紹介します。
◇【山梨積水株式会社】自家消費型太陽光発電システムを導入し約6%の電気使用量削減
2019年4月、山梨積水株式会社では、年間700MWh以上の発電が期待される自家消費型太陽光発電システムを導入しました。この電力量は同社の年間使用量の約6%にあたります。一方、油圧式射出成形機を電動式へ更新したことに加え、エネルギーマネージメントシステムを導入でしたことでも年間使用電力量の約27%を削減することが可能となりました。
◇【株式会社ローソン】LED照明を導入し約35%の消費電力を削減
株式会社ローソンでは、2008年2月からスポットライト型とライン型のLED照明を42店舗に導入し、2009年6月からは新店の看板や店内照明にもLED照明を取り入れています。これにより、店舗全体の照明(看板含む)の消費電力を、従来の蛍光灯と比べて約35%削減することに成功しています。
まとめ
今回は電気料金を削減する方法として4つの手法を紹介しました。
昨今では、電気料金を削減したいという要望に加えて、脱炭素経営の実現に向けて自家消費型太陽光発電システムを導入する企業が増えています。
システムの所有形態には、長期での経済性に優れる自社所有型、初期投資の不要となるPPAモデル(第3者所有)があり、自社にあった方法で導入を検討することもできます。
今回ご紹介した事例も参考に検討してみてはいかがでしょうか。
参考記事
【法人向け】自家消費型太陽光発電システムとは?基礎知識や導入のメリットなど解説
https://www.solar-frontier.com/jpn/blog/pages/self-consumption.html
【法人向け】PPAモデル(第三者所有型)とは?導入のメリット・デメリット、徹底解説!
https://www.solar-frontier.com/jpn/blog/pages/ppa-model.html